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SPECIAL TALK

鳴り続ける音楽と、続いていく僕らの生活と現実。
生まれ育った静岡で”街と共に”続ける、非現実ではないフェスとは?
FOS 主宰者ロッキーと下北沢のキーパーソン、スガナミユウが語る。

“僕が今見ている現場を、最高のロケーションで楽しんでもらいたいです”
 
FEVER OF SHIZUOKAについて、公式サイトで語られているこの言葉が、主催であるTHE WEMMERのロッキーの本音であり、すべてなんじゃないかと思う。
 
「ほんとよくいるね」「そっちもね」なんて言葉を交わしながら、毎週のようにTHREEのカウンターで彼と顔を合わす。
 
とある日、いつものようにカウンターで酒を注文すると、「今度さ、また静岡でフィーバーオブシズオカやるんだけどさ、よかったらよこちんにも来てほしいんだよね。時間とかタイミングあったらでいいんだけど。まじ、絶対楽しいから」
 
熱い情熱を、屈託のないそれでいてなんというか飄々としたいつもの笑顔で伝えてきた。彼が、静岡から下北沢に上京して来た理由は、地元でおもしろいことをやりたいからだと知っていたのもあって、例え簡単でありきたりな言葉であっても、それは静岡に行ってみたい気持ちにさせるには充分な言葉だった。
 
公式サイトもフライヤーのデザインも、彼の働く下北沢THREEに出演したり、一緒に飲み明かす現場の仲間がそれぞれ手がけている。同じようにTHREEで出会った自分に、今回FEVER OF SHIZUOKAについての話を聞いてもらいたいと声をかけてくれたのは嬉しい気持ちでしかない。
 
今回はロッキーが東京・下北沢という街で生活し音楽に関わっていくきっかけとなり、東京・下北沢でTHREEを拠点に音楽やカルチャーの交わる現場として常に新しい動きを続ける先輩でもある、スガナミユウ(THREE店長/GORO GOLO)を招いて今回の開催にあたっての思いを掘り下げて語ってもらった。
 
静岡や下北沢の街の人、ライブハウスに来てくれるお客さんたち、出演する仲間。そんなみんなの「こんな顔が見たかった」がそこら中に溢れるであろう、静岡でこれからも続いていく2日間のお祭りと、それを個人で現場から盛り上げ続けるロッキーにリスペクトを込めて。
 
(聞き手・構成:4x5chin)
 
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アメリカの地方都市のように、街で音が鳴ってそこに自然と人が集まってくる。その光景を自分の好きな地元の街でやれたら

まず、これまでやってきたFEVER OF SHIZUOKAについて少し振り返っていきたいんだけど、そもそもこのフェスを始めたきっかけはなんだったのかなって。何歳から始めたんだっけ?
 
ロッキー:21歳の頃ですね。
 
スガナミ:それまではバンドやってたの?
 
ロッキー:はい。そのときにはすでにTHE WEMMERをやってました。ハタチのときにバンドでアメリカツアーに行って、NYとかもおもしろかったんですけど、それよりもちょっと田舎町、地方都市みたいなところ、日本だと横浜、静岡、名古屋・・・みたいな規模の街でのライブが印象に残ってるんですよね。場所ごとにローカルヒーローがいて、例えばプロビデンスって街にはLightning Bolt。「彼らは街の誇りだからこのレコード持ってけよ」なんて、お客さんに言われたこともありました。街に音楽のシーンがちゃんと根付いているのがかっこいいなって感じたんです。週末になると店からバカスカと音が漏れ聞こえてきて、最初は全然人がいなかったBARにも次第に人が集まって賑わっている感じ。そういう体験を持ち帰って自分の街の静岡でもやってみたいなって思ったのがきっかけになってますね。
 
何もわからない中で、FEVER OF SHIZUOKAみたいな大きなイベントを個人で始めるのはめちゃくちゃ大変だったんじゃないかなって思うけど、実際はどうだった?
 
スガナミ:そもそも「街を使って開催する」っていうコンセプトは、はじめからだったの?
 
ロッキー:そうですそうです。1回目は静岡のハコを13店舗使って開催しました。
 
その時には既にどのお店の人とも知り合ってたの?
 
ロッキー:いや、もう全然。半分も知り合いじゃなくて。はじめから話を聞いてくれるところもあったけど、「こいつ絶対赤字食うからハコ代先に払わそう」みたいな対応の箱もありました(笑)。それに静岡の小箱のスタッフはみんなそれぞれクセが強い人ばかりで、21歳の若造の僕はめちゃくちゃ「出る杭」として打たれまくりました。そのうち出過ぎて打たれなくなったけど (笑)。
 
スガナミ:東京だといわゆる回遊イベント、サーキットって言われるフェスも増えてきてるじゃん?そういうのに行ったことはあったの?
 
ロッキー:いや、それがないんですよ(笑)。
 
スガナミ:あ、何かをお手本にしたってわけじゃないんだ?
 
ロッキー:ただそこらへんで呑んでる奴らが音楽の鳴ってる方にどんどん移動していく、アメリカの地方都市の様子を思い浮かべてただけですね。これを静岡でやりたいなって。
 
スガナミ:静岡で同じようなイベントはこれまでなかったんだ?それならお店の人も成功例が経験としてないわけだしびっくりするだろうね。大変だったと思う。
 
そんな中、集客的には成功を収めたと。
 
ロッキー:はい。1200人は来てくれました。静岡の人が7割位だったのかな。でもその日は静岡の市街のホテルが全部埋まったって聞きました。けっこう県外からも来てくれたんですよね。
 
スガナミ:その頃って・・・2014年か~。自分は何やってた時期かなって考えると、ちょうどHave a Nice Day!の浅見さんとよく動いてた時期で、新宿ロフトで歌舞伎町スーパーフリーっていう無料イベントをやった時期だ。今THREEでやってるblock partyの元になっているイベント。そしてその年の秋にTHREEで働くようになったくらいだね。
 
ロッキー:なるほど。東京の僕らに近いシーンではそうだったんですね。
 
今のTHREEで行っている様々なアクションに繋がる駆け出しの時期って言えるかもしれないですね。
 
スガナミ:そうだね。周りでいうと確かKiliKiliVillaが始まったのもそれくらいだったっけ?
 
2014年の10月にレーベル発足のアナウンスがされてますね。コンピ発売が2015年の春。
 
スガナミ:そっかぁ。たかだか4年前なのになんだか昔のような、つい最近のような不思議な感覚だね。
 
それからもFEVER OF SHIZUOKAというイベントは形を変えながら継続して毎年行われていて、今回の開催場所と同じ「ホテルテトラリゾート 静岡やいづ」で開催されたのが2016年。これはまたなんでホテルでフェスを行おうと思ったの?
 
ロッキー:ホテルの方が「若くて静岡でおもしろいイベントをやってるやつがいるよ」っていうのをどこからか聞きつけて、ホテル側もなにかしらイベントでホテル自体を賑やかしたいっていう気持ちがあったみたいで、あっちからお誘いがあったんですよね。しかも結構急で、前の年の12月くらいに連絡をもらって、開催したのが年が明けて3月ですから。野外で開催したのが初めてだったのもあったし大変でしたけどその時もなんとか成功しました。出演者をシークレットで開催したのがその年ですね。
 
スガナミ:当日まで出演者がわからない状態でチケット買ってくれるって普通じゃないよね。そもそもなんでシークレットにしようと思ったの?
 
ロッキー:それまでにサーキットイベントを自分でやってみて、矛盾してるなって感じた部分があったんですよ。基本自分が全部ブッキングしてるんですけど、来てくれる方に「是非見てください!」ってお願いしても、サーキットだと出番が被って見れないアーティストがいる。なにより自分がせっかく誘ったのに全然見れない。「あれ?これは嫌だな」ってその違和感に気づいちゃったんですよ。それにルートを決めて有名なバンドやお目当てのバンドを巡るだけのフェスはやっぱり個人的には嫌だなーって思ってたんで。それもフェスの醍醐味の一つなんですけど、静岡のバンドもたくさん呼んでるし、せっかくなら見てもらいたい。やっぱり静岡のフェスなんで。イベント全体を楽しんでもらいたいなっていうわがままに近い部分。
 
スガナミ:それって結構すごいよね(笑)。それだけ1回目、2回目が楽しかったってことだと思うし。

2.3日そこにいないだけで、あたり前のこととかノリも変わってしまうくらい多くの人とカルチャーが交わるTHREEという場所のスピード感と、そこに身を置いて感じたこと

今まさに忙しく準備している真っ最中だと思うんだけど、今回も最高に楽しい1日になるように意気込みはバッチリっていう感じ?
 
ロッキー:そうっすね。今、THREEに来て1年経ったんですよ。その間に経験したことも、出会った人も、自分の動き方も含めて総動員して、今の自分ができる限界まで挑戦してるっていうことは言えると思います。DIYで作れるフェスの限界を突き抜けたいなって気持ちです。
 
当時、THREEにTHREEが掲げるステートメントを静岡に持ち帰る為に修行しに来た男が新しいスタッフで入ったらしいっていうのは、よく覚えています。ユウさんはロッキーくんが働きたいってTHREEに来たときにどう思ったんですか?
 
スガナミ:うんとね、そもそも当時おれはロッキーのことをよく知らなかった(笑)。それまでにFEVER OF SHIZUOKAに撃鉄も出てたし、THREEの副店長のターシー(撃鉄)とロッキーが元々知り合いだったみたいで。ロッキーからTHREEで働きたいっていう連絡を受けていることをなぜかターシーがおれやみんなに話してなかったんだよ(笑)。静岡の人だし、まぁそんな急な話でもないと判断したのかな。そうしたらその連絡の1週間後くらいのお店のミーティングでその話を聞いて、じゃあそのうちタイミングが合ったときにでも話を聞きたいね・・・ってことでミーティングを終えたら、その日の夜にもういきなり東京にロッキーが来たんだよ(笑)。「随分早ぇーな!」って思ったよね。話したら「すぐに東京に出てきます!」って言うし、そのスピード感がおもしろいなって気に入った。おれも人のこと言えないくらい相当な見切り発車だけど、こいつ何も考えてないなって思ったなー(笑)。そういう人好きになっちゃう性分なんだよね。
 
ロッキー:「いや、きっと働けるだろう」っていう変な自信があったんですよね(笑)。いざTHREEに来てみたら、「人手も足りてるからあんまり仕事に入れないかもよ」って言われて、そこで初めて焦り始めました。
 
一流の成功したクリエイターが決まって言う「謎の自信があった」っていうやつ(笑)。
 
スガナミ:そうそう。自信って大事だよ。おれも基本的にかましちゃう方だから気持ちはわかる。
 
静岡に持ち帰るために東京のライブハウスで働きたいっていうのはここまでの話を聞いていると想像はできるんだけど、その中でもTHREEっていう場所を選んだのはどんな理由があったのか気になるね。
 
ロッキー:2016年のFEVER OF SHIZUOKAを終えたその月に仕事をやめて、フラフラしてたんですけど、そのうちライブハウスで働かないかっていう誘いはいくつかもらっていたんです。静岡の中の田舎のでかいハコか街中の小さいハコのどっちかっていう選択肢。どうしようかなって自分の中で悩んでたタイミングで、ちょうどSpincoasterの記事でユウさんがTHREEのことを話していたタイミングでそれを読んで、その考えがすごくわかりやすくて情熱的な言葉だったからどこか感化されたんでしょうね。一度も東京で生活しないで音楽、ライブハウスをやっていくっていうのはもったいないかもしれないっていう考えが浮かんで、すぐにターシーさんに連絡しました。
 
スガナミ:ターシーの謎の保留によってその連絡が店長に届くのは少しだけ時間がかかったけどね。
 
一同:(笑)
 
ロッキー:12年間も一緒にバンドやっているメンバーにもこの決断は話さなきゃなって思って、すぐに思いを伝えて、話を終えたらそのまま東京行きのバスに乗ってましたから。
 
その後実際に働いてみてどう?
 
ロッキー:毎日がすごく濃い場所だなって思います。なんか2.3日THREEにいないとその間にいろんなことが起こってたり変わってたりするんですよね(笑)。おかしいですよ、ここ。
 
一同:(笑)

スガナミ:小さなことだけど、みんなの中でのノリや当たり前が変わってたりするスピード感は確かにそうかもしれない。
 
ロッキー:夜な夜な色んな人が出入りしているし、色んな人が考えて動いている場所なんだなって感じさせられます。
 
スガナミ:ロッキーはやっぱり人柄もあってかみんなとすぐ馴染むよね。スタッフ同士はもちろん、その周りに集まる仲間たちとも。
 
うんうん。そんな中でTHREEで過ごす時間の中で、思っていたのと違うなって感じたことはあるのかな。静岡で感じていたこととの違いでもいいんだけど。
 
ロッキー:静岡ってバンドマンはバンドマン、DJはDJって付き合いが分かれがちだけど、東京・・・特にTHREEだからなのかもしれないですけど、お客さん含めてそういう付き合いに垣根がない感じはすげーいいなって思います。イベントの組み方一つとってもそうだし。「TYO Locarhythm0 (トーキョー・ローカリズモ)」(GORO GOLOとPINK POLITICSが主催する渋谷organ barで行っているパーティー)ってやってたじゃないですか、あれも自分のハコを持っている人が他のハコで定期的に自分のイベントをするっていう感覚。静岡じゃまずありえないなって思いました。フレキシブル。
 
スガナミ:平日の深夜に遊んでる人なんて東京でもたぶん2000人もいないかもしれないよね。その中でいかに小箱の経済を回すかっていうのは絶対にある。ハコのスタッフが別のハコでパーティーを主催したり、DJをしたり。付き合いというか自分たちがそうやって動くことで見返りは求めてないけど回っている感じはあると思う。もちろんそこには信頼関係があってこそだけど。agehaとかVISIONで遊ぶ感覚とはまた違う小箱の感覚がある。
 
ロッキー:静岡はそういう人口は200人もいないんじゃないかな~。
 
スガナミ:ロッキーはそれこそ吸収が早くて、さっき話したスピード感の話にもなるけど、block partyを夏に体験したら秋には静岡の3店舗を使ってblock partyを実施してたもんね。出入り自由なパーティーの性質上、外で飲むこともできるわけ。でもしっかりお店でもドリンクが出たのは、普段からロッキーが静岡で飲み歩いてるんだろうなってのも感じたし、営業を終えた居酒屋の人がお客さんを連れて飲みに来てくれるっていうのがなかなか東京にはない光景だなって思いましたね。
 
ロッキー:なんせ街がひとつしかないので、そういうことが起こりうるんでしょうね。
 
スガナミ:ロッキーとこの間、静岡に会場の下見に行った時の話だけど、夜に静岡の街に飲みに連れてってもらったら、どこに行っても「ロッキーがいつもお世話になってます」って街の人が言ってくるんだよ。それこそたまたまそこで飲んでただけのお店のお客さんがおれらの分までいつの間にか奢ってくれてたりもしたしね。本当に街の人にこいつは好かれてるんだなーって実感できたし、だからこそ出演者がシークレットでもイベントを楽しみにしてくれてたりするんだろうなってわかるよね。その人がいることでなにかしらが変わっていくキーパーソン。そういう人がどの街にもいると思うんだけど、ロッキーも静岡におけるその一人なんだろうな。
 
「フェスを一回の祭りで終わりにしたくない。生活とか現実とちゃんと繋がっているフェスにしたい」って話してたのがまさにそこなのかなって思わされるね。出ているメンツが重視されるのはフェスの宿命だとは思うんだけど、それだけじゃない、そのイベントに誰が出ようとその地域ごと、その流れている空気に根付いているお客さんがいるものも各地にあると思うんだけど、FEVER OF SHIZUOKAも確実にはじめからそっちに向かっているんだなって思うよ。消費されるフェスではなく、地域のお祭にみんな集まってくる身近な感覚。そこに誰がいるかも重要だし、そこに参加することや準備することで感じる街の人のワクワク感みたいなものは近いのかなって。
 
ロッキー:そうそう。特に大きなフェスって非現実的なことの最高峰だと思うんですよ。普段の生活から離れて自然の中や野外で音楽漬けで過ごす一日・・・みたいな? それもいいんですけど、FEVER OF SHIZUOKAは現実的なものを楽しめる日にしたいんですよね。なんか、居酒屋の大将が実行委員会やってたり、メシ出してたり、なんかチケット売ってたりとか・・・街で見るよく知ってる顔がなんかやってんな!っていう感じ。だって僕らが必死に動いてる姿とか、めちゃくちゃ現実的じゃないですか。
 
決して大勢のボランティアスタッフが一生懸命動いてるものがダメなわけではなくて、顔が見えるみんなの普段の生活と繋がっているところでやることをFEVER OF SHIZUOKAは限界まで突き詰めていきたいってことだよね。

「この街にはあの人がいる」。出会う人を通して地方の街と繋がっていく。人の気持ちも音楽も空気感も。

出演バンドについても聞いてみたいんだけど、どういう選び方をしてるのかなって。まぁひとつひとつは語りきれない・・よね?
 
ロッキー:そうですね。ここ1年東京での生活で出会った人が多いですけど、みんな快く引き受けてくれました。以前からの付き合いの方たちももちろんいますけど、例えば向井(秀徳)さんはずっと呼びたかったんですけど「最近静岡来てくれないっすよね~。寂しいんすよ。みんな待ってるんですけどね・・・」ってこのタイミングでボヤきながらお願いしたりして(笑)。 これが嬉しいことにみんなけっこう「そんなに言うなら、じゃあ」って応じてくれることが多いんです。ほんとありがたいですね。
 
スガナミ:ブッキング中の話も色々と聞いたんだけど、東京なら集客ありそうなアーティストが静岡ではそう上手くいかなかったり、もちろんその逆もあるらしくて。東京との感覚の違いが新鮮だなって思った。静岡は好きになったらとことん好きなままで、東京は好きなものがどんどん更新されていく傾向はあるのかもって感じたね。
 
スガナミ:それに今回のことでいうと、ロッキー自身も言ってたけど完全に個人主催のレベルを超えちゃってるよね。ブッキングの予算もそうだけど、ロケーションもそう。いわゆるそのままライブができるっていう用意されている環境でもない場所で行うこと。それに一日ならなんとかドタバタで運営も乗り切れることが多いけど2日間っていうのは体力的な面ももちろん、管理的な部分もけっこう大変だと思うんだよ。ホテルっていう環境、9月だけどまだ暑い季節に海の近くで開催する安全面。2階にプールのあるステージがあって、そこの周りも柵がないからけっこう気をつけないと酔った人とかこわいよ?たぶん千秋(ジャポニカソングサンバンチ)がいちばん危ないな(笑)。
 
TSUNA(Dreamcast)もこわい(笑)。当日までにあの場所なんとかしましょう(笑)。
 
いい大人しかいないはずなのに、ケガだけはしないようにっていうのが最重要事項っていう。
 
スガナミ:安全面は大事だからね。何もトラブル起きないといいな。大きな後ろ盾がなく個人でやるってってやっぱりそういう面から考えてもかなり博打なイベントだなーって思うけど、これが成功したあとにロッキーが何をするのかっていうのは単純にすごく楽しみです。
 
(しばらく考えた後)うーん、全然まだわかんないなー。
 
スガナミ:ははは(笑)。でもなんでもそうだけどやればなにか見えるから。逆にやらないと見えないものがある。この規模感を大きくしていくのか、それともまた違った方向に行くのか個人的には気になってるよ。今は見え方として商業的に見えないギリギリのところだと思うからね。
 
ロッキー:そうなんですよね。
 
スガナミ:おれはどっちもありだと思ってるよ。おれがやってることとロッキーがやってることが違ってておもしろいなって素直に感じてるし。自分はフェスよりもパーティーをやりたい人。Feelin’Fellowsだって簡単に言えばTHREEとOrganで普段遊んでる空間を10倍でかくしてリキッドルームでやっただけだしね(笑)。
 
ロッキー:実際、FEVER OF SHIZUOKAをやってその収益で食べていこうとか考えると、超つまんなくなるからな~。どうしていこうかは難しい。
 
スガナミ:でも静岡を盛り上げていきたいっていうのは間違いないでしょ?
 
ロッキー:はい!「静岡がすごい!おもしろい!」ってもっと思ってもらえるような力、あの街にはあると思うんですけどね。静岡の若者向けのメディアサイトみたいなものを立ち上げた人や、ゲストハウスを若い子たちが始めたりする動きもあるみたいです。そういうものもこれからどんどん音楽と繋がっていくと思うし、面白いことになっていくと思いますよ、これから静岡は。
 
ロッキーくんが静岡を好きな理由は例えばどんなところ?

ロッキー:もちろん自分がずっと生まれてから住んでた街っていうのはあるし、街の大きさもちょうどいいっていうか、ちょっと離れれば浜松や沼津などがありますけど、さっきも言いましたけど基本的には街が一つしかないのも好きな理由のひとつかも。東京なら新宿、渋谷、下北・・・って街がたくさんあるけど、静岡で友達に「今どこにいるの?」って電話すると、大体「街にいるよ」って返ってくるんです。なぜなら街が一つしかないから。そのなんとも言えないちょうどよさは自分の中で好きなんですよね。
 
今の時代、東京だけが中心っていうわけではないですもんね。そういうおもしろい街がそこにいる人たちの手で作られてるって実感することが増えてきた気がします。
 
スガナミ:そうだね。地方でもそれぞれ独自の文化で音楽が継承されたり育ったりもしているし、それに東京に来るにも、感覚的な距離ももちろんそうだし、実質移動にかかる時間も早くなってるしね。苫小牧のNOT WONKだって金曜の夕方まで普通に仕事して、そこからこっちに来て深夜のblock partyに出てたりする。仲良い地方のDJも平日にふらっとTHREEに来てスタンドかげんで飲んでたりする光景が自然になっているのもおもしろいなって。
 
人の繋がりとか気持ちとか、そこにある楽しい空気とかがどんどん行き来している感覚はありますよね。「この街にはあの人がいる」「知っているあの人がいる街」っていう感覚が強くなっている気がしています。そんな中で静岡っていう中心の一つにはロッキーくんがいる。そこを通して静岡は「きっとこんな街なんだろうな」って想像するし、時には実際に体感するんでしょうね。
 
スガナミ:そうだね。結局は人だからね。その人がいないと始まってないなってことたくさんあるだろうし。ロッキーがいなかったら未だにおれは静岡に全くゆかりがなかったかもしれないもんね。
 
今それを最も体現しているのがKONCOSのTA-1さんかもしれませんね(笑)。全国を移動し過ぎている。
 
スガナミ:そうだね。それこそTA-1くんが今毎週水曜にTHREEで働いているから、ライブやPOP UP SHOPで全国を駆け回って、帰ってきて全国のいろんな話を持ち帰って聞かせてくれて、THREEとしてもそこからいろいろな地方のおもしろい人と繋がれることも多くて嬉しいなって感じてます。

音楽が街とそこにいる人と密接にある祭りを目指して。自ら作りだす
最高の「こんな日」を、これからも続けていきたい。

スガナミ:それにしても素晴らしいね、27歳でこれだけのことができるなんて。
 
ロッキー:いやいやいや、まだこれからですよ。
 
スガナミ:おれなんてその歳の時は、着物の端切れを10円で全部買って、それを重ね着して、公園でずっと詩を書いていた時期だよ。クズみたいな人間だったから。つげ義春ばっかり読んでたなー。
 
一同:(笑)
 
パーティーには一番縁のなさそうな過ごし方ですね。
 
スガナミ:当時からは考えられないね。最近は街と密接にあるってことはすごくいいなって思っていて、THREEの目線でいうと下北沢をもっと自分たちなりに繋ごうとしている。表じゃなくて下北の裏MAPみたいなものを作ろうっていう考え。それはロッキーがやっていることに影響を受けてるよ。
 
”例えば、下北沢の自分たちの好きな服屋、飲み屋、路地、グラフィティみたいなものを紹介してそれらを巻き込みつつ、地図としてつなげていくようなプロジェクトをしようと考えています。僕らなりの“カッコいい下北沢”の紹介ですね。そのプロジェクトは『下北沢サイトシーイング (SHIMOKITAZAWA SIGHTSCENEING)』って名前にするつもり。“Sightseeing”はもちろん観光という意味ですけど、“seeing”を“Scene+ing”という造語にして、“シーンを作っている途中”って意味を持たせたい。そしてそれを定期イベントと連動させて、この街の人が行き交う循環を作れればいいなと思っています。インディペンデントレーベルのLess than TVが“日本中を地下通路でつなぐ”ってことを指標にしているんですけど、その下北沢版をやれたらなって。”(音楽ナタリー連載 コラム「小さなライブハウスの挑戦」より中略 https://natalie.mu/music/column/288445
 
スガナミ:もちろんこれまでのバンド活動や個人の活動からの積み重ねはあるんだろうけど、なにより1年間でこれほどの人を巻き込んで個人のフェスをやれる人間関係を築いているのはすごいと思うよ。
 
いまや、下北沢は第2の地元って感じだね。
 
ロッキー:そうですね。もう毎日が濃すぎて大変ですけど楽しいですね。
 
スガナミ:当日は笑っちゃうくらい人来てほしいねー!
 
そこにいる人が楽しみすぎてフェス中は動画とか写真撮るの忘れちゃって、インスタとかに様子が伝わるものは何も上がってこない状況とかになったら笑いますね。
 
スガナミ:それ最高だよね。現場でしか感じられない空気っていうのは良い日にはかならずあるから。
 
ロッキー:そしてフェスが終わってもまた来週も会えるし、現実は続いていく。これからも続いていくものとして、「楽しいだけじゃない日」になればいいなと。
 
まさに「こんな日をずっと待ってたんだ」って言える日になればいいなってことでいいかな?
 
スガナミ:これってロッキー自身が思った言葉ってことでもないんだ?
 
ロッキー:これはもう来てくれたみんながそう思ってくれるんじゃないかなっていう僕の予想です。最終的に自分もそう思えたら最高ですね。もうね、絶対最高な日になるとしか思えないんですよ。

写真左
スガナミユウ
THREE店主,GORO GOLO
 
写真右
ロッキー
FEVER OF SHIZUOKA主宰者,THREE スタッフ,THE WEMMER,SYMBOL,and more
 
【聞き手・構成】
4x5chin
 
【写真】
Sharpness
DJ ,写真家,オルガンバースタッフ